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音楽史

【決定版】ロバート・ジョンソンと《クロスロード伝説》:悪魔との契約の真実

音楽史
この記事は約22分で読めます。
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はじめに

ロバート・ジョンソンの名とともに語られる《クロスロード伝説》は、ブルース界のみならず、音楽史全体に影響を与えた神秘的な物語です。

彼がギターの腕を上達させた驚異的な速さは、当時の音楽仲間たちを驚かせました。その結果、「彼は悪魔と契約したのではないか?」という噂が広まり、やがて伝説となりました。

果たして、この伝説にはどこまで真実が含まれているのでしょうか?

この記事では、《クロスロード伝説》の起源や文化的背景を探ります。

ロバート・ジョンソンとは?
  • 出生: 1911年5月8日、アメリカ・ミシシッピ州ヘイズルハーストに生まれる
  • 日本の年代だと:1911年は日本だと明治44年で岡本太郎さんと同い年
  • 幼少期: 母親とともにメンフィス(テネシー州)へ移住し、音楽に興味を持つ
  • 活動: 1929年頃から音楽活動を本格化させる
  • : 1932年以降、ミシシッピ州を中心に各地でブルースを弾き語りし、後にシカゴやニューヨークなどにも進出
  • 録音:
    • 1936年11月、テキサス州サンアントニオで16曲を録音。
    • 1937年6月、ダラスで13曲を録音。生涯で残した録音は29曲(42テイク現存)
  • 評価: 当時は無名だったが、後のブルースやロックミュージシャンに多大な影響を与える
  • 死去: 1938年8月16日、ミシシッピ州グリーンウッドで27歳の若さで急死(27クラブの一人)
  • 伝説: 「クロスロード伝説」やその神秘的な人生が語り継がれ、歴史的なギタリストとして評価される

《クロスロード伝説》とは?

《クロスロード伝説》とは、ブルースミュージシャンのロバート・ジョンソンが「十字路で悪魔に魂を売ることで、才能を手に入れた」という伝説です。

Yamori
Yamori

ロバート、《クロスロード伝説》の夜中に十字路で悪魔と契約し、ギターの才能を手に入れた……これは本当なんですか?

R・ジョンソン
R・ジョンソン

はは、面白い話だね。あの時、俺がギターを弾くと、みんな「信じられない」って振り向いたんだ。みんな事実を埋める説明でも必要だったんだろう

Yamori
Yamori

でも、あなたのギターの腕前はある時期から、突然理解の出来ないほど上手くなったと言われています。

R・ジョンソン
R・ジョンソン

「確かに、昔はギターが下手だったね。みんなに『やめとけ‼』って言われたくらいさ。でも俺はあきらめなかった。ある男の元で修行したんだ

《クロスロード伝説》とは何だったのか?ある男とは誰の事なのか? 本当に悪魔に魂を売ったのかひも解いていきましょう。

《クロスロード伝説》の概要

若い頃のロバート・ジョンソンのギター技術は未熟でしたが、2年ほど姿を消した後に驚異的な進歩を遂げ、周囲を驚かせました 。

この急激な変化から、「彼は十字路(クロスロード)で悪魔に魂を売り渡し、その見返りにギターの技術を得たに違いない」という伝説が生まれました。

悪魔と契約する方法とは?

夜の零時前にギターを持って十字路へ行き、そこで一人でギターを弾くと、黒い大男が現れてギターをチューニングし、それを返すと望む技術が得られるという言い伝えです。

十字路の番人《パパ・レグバ》とその背景

パパ・レグバのイメージ
パパ・レグバのイメージ Mark Bere Peterson’s Hauntings,より出典

パパ・レグバは西アフリカに広く伝わる神話に登場する、この世とあの世の十字路の番人。

この神話は、黒魔術、ジュジュといった信仰の一部であり、新世界のアフリカ系アメリカ人にもしっかりと根付いていたと考えられています。西アフリカのヨルバ族やコンゴ族の宗教では、十字路は霊的なエネルギーが集中する場所と考えられていました。

ジュジュとは?

ヨルバ語の「ジュジュ」や「ジジュ」は「投げる」という意味であり、ナイジェリアにいたイギリスの植民地支配者たちは、様々なグループから耳にした音楽を「ジュジュ」と呼んだのである

また、ニューオーリンズに持ち込まれたヴードゥー文化では、十字路は神々と交信するための特別な地点とされ、儀式が行われることもありました。この考え方がアメリカ南部の黒人コミュニティに広まり、ブルース音楽と結びついていったのです。

当時の社会文化背景

ロバート・ジョンソンの音楽はミシシッピ・デルタを中心とした南部における社会文化的背景から多大な影響を受けました。

1910年代から1930年代の南部は根強い人種差別が存在し、アフリカ系アメリカ人は経済的に困窮していました。

ジューク・ジョイントではブルースが常に演奏され、ロバート・ジョンソンサン・ハウスやウィリー・ブラウンといった著名なブルースマンを実際に見たことも、音楽の道を志す大きな要因でした。

ジューク・ジョイントとは?

南部の田舎の黒人たちが集い、酒を飲み、ギャンブルに興じる場所。常にブルース演奏され、当時の社交場でもあった。当時のブルースを語るうえで重要な場所

その後、実父を探す音楽の修行の旅で様々な場所を訪れ、多くのミュージシャンと出会い、アイク・ジマーマンというギターの師匠との出会いが彼のテクニック向上に決定的な影響を与えました。

Yamori
Yamori

アイク・ジマーマン 彼はどんな人物だったんですか?

R・ジョンソン
R・ジョンソン

彼はそこそこ名が売れたギター教師だったよ。俺を家に住まわせてくれたんだけど、彼には家族がいたから、練習はもっぱら夜の墓地だったんだ

Yamori
Yamori

墓地でギターを? それが悪魔の伝説に結び付いたかもしれませんね。

R・ジョンソン
R・ジョンソン

かもな。でも、俺がギターテクニックを手に入れることが出来たのはあくまで【努力の賜物】

謎のギタリスト【アイク・ジマーマン

実の父親を探す旅の途中で、出会った謎のギタリスト 。

ロバート・ジョンソンというと《クロスロード伝説》が有名ですが、実際にはギターの師匠としてアイク・ジマーマンという人物が存在していたとされています。彼は町のギター講師で相当なテクニシャンだったと考えられています 。

ロバート・ジョンソンサン・ハウスウィリー・ブラウンの元に戻ってきた時、アイク・ジマーマン仕込みの凄いテクニックを披露し、それが「悪魔に魂を売った」というクロスロード伝説へと繋がっていったと言われています。

アイク・ジマーマンの音源は現在存在しません 。なぜアイク・ジマーマンの音源がないのかについては、いくつかの説があります。

彼の家族がいたため、他のブルースマンのように放浪してレコーディングできなかったのではないか、あるいは教師という立場から自らミュージシャンとして活動することを望まなかったのではないか、などが考えられています。

彼の存在が事実であったことは、ロバート・ジョンソンの楽曲「Rambling On My Mind」は、アイク・ジマーマンが作ったと言われているためです 。

伝説の起源:ジャズ評論家ルディ・ブレッシュの存在

1946年ジャズ評論家ルディ・ブレッシュロバート・ジョンソンの代表曲「Hellhound on My Trail」に関して、誇張された曲解釈を発表しました。

彼の解釈では、曲の歌詞や雰囲気が邪悪に満ちており、放浪者、悪魔に取り憑かれた人影といったイメージが強調されました 。

星明かりはなく、身を切る風が吹きすさび、冷たい雨に洗われる暗い荒地。丘の頂をただ一人、みすぼらしい服を着て、悪魔に取り憑かれた人影が、ギターを抱えながら、とぼとぼと歩いていく

Yamori
Yamori

ロバート、あなたの曲には『悪魔』や『地獄』を連想させるものが多いですよね。『Me and the Devil Blues』とか『Hellhound on My Trail』とか

R・ジョンソン
R・ジョンソン

「ブルースってのは、魂の叫びさ。人生の喜びや苦しみを音楽にする。私の歌には、現実の痛み、つまり地獄が広がっているのさ

Yamori
Yamori

1946年にジャズ評論家のルディ・ブレッシュが、あなたの曲を“悪魔に憑かれた音楽”だと書いています

R・ジョンソン
R・ジョンソン

「俺が死んだ後にな。《死人に口なし》さ

ロバート・ジョンソンの楽曲には、「Hellhound on My Trail」の他にも「Me and the Devil Blues」などで、悪魔や地獄といった内容が含まれていたこと。当時の社会的な背景として、人々が魔術や超自然的な現象を信じやすかったことも、伝説が広まる要因となりました。

悪魔とロックの関係:伝説が与えた影響

魂と引き換えに才能を得るという考え方は、非常にロマンを感じます。

ブルースから生まれたロック音楽も、初期の頃からその反体制的な姿勢や情熱的な表現において、悪魔的なイメージと結びつけられることがありました。

ローリング・ストーンズの《悪魔を憐れむ歌》や、ブラック・サバス、オジー・オズボーン、アルバムのジャケットなど、悪魔のイメージを積極的に取り入れるロックミュージシャンも現れました。

また、ロバート・ジョンソンが27歳という若さで亡くなったことも、伝説に神秘性を加え、【27クラブ】といった夭折の天才ミュージシャンを巡るイメージにも影響を与えたと考えられます。

ロバート・ジョンソンの音楽性

ロバート・ジョンソンはギターの腕前が全く上達しなかった時期に姿を消し、約2年後に再び現れたときには、驚くほどギターのテクニックが向上していました。この急激な変化から、「十字路(クロスロード)で悪魔に魂を売り渡し、その引き換えにギターの技術を手に入れたに違いない」という噂が一人歩きしました。

楽曲のテーマとの関連

ロバート・ジョンソンの楽曲には、悪魔や地獄を連想させる歌詞が含まれています。

Me and the Devil Blues》は、日本の平本アキラの漫画《俺と悪魔のブルーズ》の原題ともいえる楽曲です。

《俺と悪魔のブルーズ》は、ロバートジョンソンを主人公に、フィクションを加えサスペンスフルに描いた漫画です→ぜひ読んでみてください

ギターテクニックの変化

ロバート・ジョンソンはハーモニカは上手かったもの、初期のギター技術は、周囲のミュージシャンから見ても非常に未熟でした。

サン・ハウスは、若い頃のジョンソンが自分の演奏を見に来ては休憩中にギターを弾こうとするのを「やたらうるさいだけ」で「犬だって聞いてられないぜ」と酷評し、「もうやめるんだ、ロバート。お前にはギターは弾けないよ」と言ったとされています。

その後、約2年の間に、彼のギター技術は驚異的に向上しました。この変化は、周囲のミュージシャンに大きな衝撃を与え、「悪魔と取引したのではないか?」という伝説が生まれるきっかけとなりました。

ギター技術の変化の具体的な例としては以下の点が挙げられます。

ロバート・ジョンソンのギターテクニック

ロバート・ジョンソンの演奏はギターのリズムパートとメロディパートが「絶妙に融合」しており、ギターを弾く人から見ても、この両方を同時に弾くのは難しいとされています。

Yamori
Yamori

あなたのギタープレイは「リズム」と「メロディ」が絶妙に融合していると言われていますね。ギターを弾く人にとって、これはかなり難しい技術だとか

R・ジョンソン
R・ジョンソン

簡単なことじゃないな。リズムは土台、メロディは魂。それを同時に操るには、指だけじゃなく、頭の中でも別々に動かせなきゃならない

Yamori
Yamori

キース・リチャーズも初めてあなたの演奏を聴いたとき、「これを一人で弾いているなんて信じられない」と驚いていました

R・ジョンソン
R・ジョンソン

彼も今ではギターの名手だが・・・私のスタイルは、それぞれのパートを独立させながらも、ひとつの流れにするのがポイントだ

Yamori
Yamori

普通はリズムとメロディ、どちらかに偏るものですが、あなたの演奏はまるで二人で弾いているように聴こえる

R・ジョンソン
R・ジョンソン

一瞬はシンプルに聴こえるかもしれないが、奥にあるのは計算されたバランスなんだ

音楽性とシャッフルの確立

彼はファルセット(裏声)を効かせた歌声、そしてラグタイム、カントリー、ジャズなどの要素を交えた演奏 。

また名曲「Sweet Home Chicago」ではシャッフルのリズムを広めたと言われています。

この「シャッフル・リフ」は、後のシカゴ・ブルースやチャック・ベリーのロックンロールに影響を与えました。

バンドのようなグルーヴ感

ジョンソンの楽曲はギターのリズムがしっかりしているため、「一人でやっているのに、バンドっぽいというか、なんとも言えないグルーブ感がある」と評されています。

これは、彼が他の戦前ブルースマンと比べて、ロックやロックンロールなどのバンド形態に近い音楽性を持っていたことになります

ミュージシャンへの影響

旅から戻ったジョンソンの演奏を聴いたサン・ハウスをはじめとする人々が「むちゃくちゃ上手い」「やばい」と驚き、「こんなにギターが上手くなるなんて、こいつ悪魔と取引したのかも」と噂しました。

ジョニー・シャインズは、初めてジョンソンに会った時の印象を「あいつのギターは凄かった。あんなのは聴いたことがなかった。他の誰もやってないことで、ロバートがすべてを変えてしまった」と回想しています。

キース・リチャーズは初めてジョンソンのアルバムを聴いた際、「ギターは何人で弾いているのだろう」と疑問に思ったという逸話も、彼の技術の高さを示しています。

ロバート・ジョンソンの生涯と真実

彼の複雑な家庭環境や最初の結婚と妻子の死は、彼の内面や音楽表現に影響を与え、多くの楽曲に影響を与えました。

では、謎に包まれたロバート・ジョンソンは、本当に悪魔と契約したのでしょうか?

彼の生立ちや人生を見ていきましょう。

幼少期と家庭環境

ロバート・ジョンソン(1911-1938)は、アメリカのブルースギタリストであり、短い生涯ながらも後のロックミュージックにも多大な影響を与えました。

ロバート・ジョンソンの複雑な家庭環境

ロバート・ジョンソンは1911年5月8日にミシシッピー州ヘイズルハーストに生まれましたが、彼の父親はチャールズではなく、母親ジュリアの浮気相手との間に生まれた子供でした 。

幼少期には両親が別れ、母親ジュリアと家を出たものの、2年後には父チャールズの元に送られました。

ロバートは幼少期にスペンサーという苗字で呼ばれていましたが、後に母親から実の父親の存在を知らされました。

母親から「別名前にジョンソンという名前の父親がいる」と告げられ、そこから自身が実の父親の苗字であるジョンソンを名乗るようになりました

音楽的成長とアイク・ジマーマン

"Ike" Zimmerman
アイク・ジマーマン Wikipediaより出典 

彼の楽曲は、ギターのリズムパートとメロディパートが絶妙に融合しており、一人で演奏しているとは思えないと、キースリチャーズも不思議に思ったそうです。

ロバート・ジョンソンはミシシッピ州で生まれ、若い頃からブルースミュージシャンのソニー・ボーイ・ウィリアムソンチャーリー・パットンに影響を受けました。

彼は旅をしながら演奏し、アイク・ジマーマンに師事しながら各地で様々な音楽スタイルを吸収していったのです。

悪魔の契約説の背景

悪魔と契約したとされるロバート・ジョンソンですが、「そもそもそんな話はなかった」と否定する証言もあります。

ロバートのギターテクニックは、実際には努力の結果であり、「魔術」ではないというのが現実的な見方でしょう。

ですが、彼はわずか数年の間に、サン・ハウスやウィリー・ブラウンが認める卓越したプレイヤーへと成長しました。

この急激な技術の向上が、「彼はクロスロードで悪魔と取引したのではないか」という噂を生み出したのかもしれません。

死因と伝説化

 1938年の夏、彼はミュージシャン仲間のハニー・ボーイ・エドワーズと共に、【スリー・フォークス】というジューク・ジョイント(黒人が集まって飲食やダンスを楽しむ酒場)で数週間演奏するため、ミシシッピ州グリーンウッドに向かいました。

この店のオーナーの妻は 艶麗な雰囲気を持ち、ロバート・ジョンソンの女グセの悪さに瞬く間に火を点けてしまいます。

グリーンウッドの町でデートを繰り返す2人の仲は、間もなく店のオーナーである夫に知られることになります。

 ある夜、嫉妬に狂った夫は、何食わぬ顔で店に出演していたロバート・ジョンソンに、毒を盛ったウイスキーの小瓶を手渡しますハニー・ボーイは「開封されているウィスキーは飲むな!」と忠告しましたが、ジョンソンは疑いもせずこれを飲んでしまったのです。

彼が店で倒れた後、もがき苦しみながら2日間はなんとか持ちこたえましたのですが、その後ロバート・ジョンソンは肺炎を発症。わずか27歳でこの世を去ります。

ロバート・ジョンソンの墓は3つある?

indagrave.comより出典 ロバート・ジョンソンが紙に書き記した直筆文字が刻まれている 

スリー・フォークス】のオーナーに毒殺されたロバート・ジョンソンが埋葬されたという墓地は3つあります。

  • モーガンシティのマウントザイオンバプテスト教会
  • キトのペイン・チャペル・メモリアル・バプテスト教会
  • リトル・ザイオン・バプティスト教会

グリーンウッドの町には、「ロバート・ジョンソン・ライフ&レガシー・ツアー」という彼のゆかりの地をまわるトレイル・コースが観光局によって設けられています。

 そのハイライトがこの墓地なのですが、さすがは伝説だらけのロバート・ジョンソン。なんと、このコースには3カ所も彼の墓があるのです

ミシシッピ・ブルース・トレイルが、正式に3カ所ある墓の設置経緯を調べた結果、リトル・ザイオン・バプティスト教会の墓が本物と認定されたのでした。決め手になったのは、ローズ・エスクリッジという女性の証言でした。

 ローズの夫であるトムは、役所から提供されたパイン材の棺に入ったロバート・ジョンソンをここに埋葬し、彼女はその一部始終を見ていたというのです。

墓石には死の床で話すことができなくなったロバート・ジョンソンが、紙に書き記した直筆文字(ロバート・ジョンソンの妹ケアリー・トンプソン氏が鑑定)が刻まれています。

リトル・ザイオン・バプティスト教会の墓地

教会の隣にある小さな墓地は木々に囲まれており、彼の手書きの石版には「ナザレのイエス、エルサレムの王。私は、私の救い主が生きておられ、墓から私をお呼びになることを知っています」と書かれています。

グリーンウッド近郊でのジョンソンの死という話は最も信憑性が高いようで、そのことを記した死亡証明書のコピーがインターネット上に出回っています。

ロバート・ジョンソンの死亡証明書https://egrove.olemiss.edu/より出典

《クロスロード伝説》に隠された5つの驚くべき事実

《クロスロード伝説》は今から80年以上前の出来事です。伝説の陰に、実際はなにがあったのでしょうか。

《クロスロード伝説》に秘められた5つの事実を再検証していきます。

事実①:実際のクロスロードの場所

  • [画像左上]新道の61号線と49号線の交差点に設置されているモニュメント 
  • [画像右上]旧道であるタラハッシー通りとマーティン・ルーサー・キング通りの交差点に建つ標識
  • [画像下]クラークスデイルの観光名所ともなっているデルタ・ブルース・ミュージアム

一般的に「クロスロード」として認識されている場所は、ミシシッピ州クラークスデイルにあり、国道61号線と49号線が交わる交差点です。ここには現在クロスロードのモニュメントが建てられ多くのブルースファンが訪れる観光名所となっています。

しかし、ブルース研究家の間では、本当のクロスロード」は旧国道61号線と49号線の交差点、つまり現在のタラハシー通りとマーティン・ルーサー・キング通りの交差点であるという説がささやかれています。

事実②:悪魔との契約は音楽界だけのものではない

悪魔と契約したとされる人物は音楽界だけではありません。

成功を求める人々が代償を払って契約を結ぶというテーマにはロマンがあります。

  • ヨハン・ファウスト: ゲーテの戯曲『ファウスト』のモデルとなったとされる15世紀頃のドイツの人
  • クリストフ・ヘイズマン( 17世紀の画家)

これらの人物の伝説は、常人には理解できない能力を《悪魔との契約》として説明されています。

事実③:土地に残った文化的背景

1930年代のミシシッピ・デルタ地帯では、魔術や超自然的な力に対する信仰が根強く残っていました。

説明のつかない才能の開花は、悪魔との契約という超自然的な力の介在によって合理化されやすかったと考えられます。

ジャズ評論家のルディ・ブレッシュは、ロバート・ジョンソンの代表曲「Hellhound on My Trail」を、悪魔に取り憑かれた人物が彷徨う様子を描いたものとして解釈され、その後の研究者や一般の人々の間でロバート・ジョンソンと悪魔を結びつける傾向を強めました。

Yamori
Yamori

「そもそも、クロスロード(十字路)って何か特別な意味があるの?

R・ジョンソン
R・ジョンソン

南部の黒人文化では、十字路は『運命を変える場所』って言われてるんだ。ヴードゥーでは『パパ・レグバ』って神様がいる。彼にお願いすれば道が開けるってな

Yamori
Yamori

そうですね。だから、あなたの急成長を見た人たちは『ロバートは十字路で悪魔と契約した』って噂を立てたんですね

R・ジョンソン
R・ジョンソン

「そういうことさ。でも俺は、自分の魂を売った覚えはないよ・・(笑)

パパ・レグバとは?

西アフリカに広く流布する神話に登場する、この世とあの世の十字路の番人

神秘主義、黒魔術、ジュジュといった信仰の一部であり、新世界のアフリカ系アメリカ人にも深く根付いていたと考えられています 。

西アフリカのヨルバ族やコンゴ族の宗教では、十字路は霊的なエネルギーが集中する場所と考えられていました。

また、ニューオーリンズに持ち込まれたヴードゥー文化では、十字路は神々と交信するための特別な地点とされ、儀式が行われることもありました 。この考え方がアメリカ南部の黒人コミュニティに広まり、ブルース音楽と結びついていったのです

事実④:類似する伝説とその共通点

トミー・ジョンソン Wikipediaより出典

ロバート・ジョンソンより前に活躍したブルースマンであるトミー・ジョンソンも、ギターが下手だったにもかかわらず、ある日突然熟練した腕前になったエピソードがあり、クロスロードで悪魔と契約したからだという伝説があります。

またヨハン・ファウストは神学の博士号を持ちながらも傲慢で虚栄心が強く、悪魔学に傾倒しました 。

伝説では、ファウストは森の中の十字路で悪魔メフィストフェレスを呼び出し、ありとあらゆる欲望を満たす代わりに魂を売ったとされています

これらに共通しているのが、常識を超えた能力や成功や、特定の場所(十字路】との関連付け、「成功のために何かを差し出す」という共通点です。

トミー・ジョンソン

1910年頃にミシシッピ州クリスタルスプリングスに移住し、1914年までに兄弟のメジャーとレデルと共に地元のパーティーで演奏して収入を補っていた。

1916年にジョンソンは結婚し、ドッカリー農園に近いミシシッピ州ドリュー近郊のウェブ・ジェニングスの農園に移った。 そこで彼はチャーリー・パットンやウィリー・ブラウンを含む他のミュージシャンと出会いました。

1956年に心臓発作で亡くなる(享年60才)

事実⑤:現代にもつながる影響

ミック・ジャガーキース・リチャーズ、エリック・クラプトンといった著名なミュージシャンたちは、彼の音楽から多大な影響を受けたと公言しています。

Yamori
Yamori

ロバート、あなたの音楽が後のミュージシャンに与えた影響は計り知れません。例えば、ミック・ジャガーやキース・リチャーズ、エリック・クラプトンもあなたの音楽に感銘を受けたと語っていますね

R・ジョンソン
R・ジョンソン

そうらしいね。エリック・クラプトンは、私の音楽が他のどんな音楽よりも強烈で、初めて聴いたときから頭から離れなかったって言っていたな。

Yamori
Yamori

ローリング・ストーンズもあなたの《Love in Vain》をカバーしていますし、キース・リチャーズは初めてあなたのアルバムを聴いたとき「ギターは何人で弾いているのか?」と驚いたそうです。

R・ジョンソン
R・ジョンソン

キースがそんなことを言っていたのか。俺は一人でギターを弾いていたけどな

Yamori
Yamori

あなたの楽曲はロックンロールの原型にもなっていますよね。《Sweet Home Chicago》のシャッフルリズムなんかは、シカゴ・ブルースやチャック・ベリーのロックンロールにも影響を与えています

R・ジョンソン
R・ジョンソン

ブルースは進化する音楽だからな。私の演奏が後の世代に影響を与えたのなら、嬉しいよ

Yamori
Yamori

それに、あなたは『27クラブ』の最初の一員としても語り継がれていますね。ブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、カート・コバーンといった27歳で亡くなったミュージシャンたちと並び称されています。

R・ジョンソン
R・ジョンソン

私はただ音楽を奏でていただけなんだがな……。でも、そのおかげで私の名前が今でも語られているなら、それもまた運命なのかもしれない

Yamori
Yamori

あなたの音楽と伝説は、80年以上経った今でも色褪せることなく、多くの人々に影響を与え続けています。それは、あなたの音楽が持つ普遍的な魅力のおかげですね

R・ジョンソン
R・ジョンソン

もし私の音楽が今も人々の心に残っているなら、それ以上の喜びはないよ

悪魔との契約という普遍的なテーマ

悪魔と契約して特別な力を得るというモチーフは、古くから存在する普遍的なテーマであり、ロバート・ジョンソンの伝説もこの系譜に連なるものとして、語りつがれてきました。

アメリカ人がこのような「伝説」的な話を作るのが得意であるという文化的背景も、この伝説の広まりに影響していると考えられます

ローリング・ストーンズの《悪魔を憐れむ歌》や、ブラック・サバスオジー・オズボーンの楽曲には、悪魔というモチーフが多く使われています。

歌詞に登場する悪魔は、、自身が様々な歴史的な残虐行為を引き起こした張本人だと主張します。 キリストの破滅、百年戦争、ロシア革命、第二次世界大戦、ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺などは全て彼が引き起こしたと告白している。彼とは悪魔ルシファーの事

Yamori
Yamori

ロバート、あなたの伝説はブルースだけでなく、ロックにも影響を与えました。ストーンズの《悪魔を憐れむ歌》や、ブラック・サバスの悪魔的なイメージも、あなたの伝説がもとになっているとも言われています

R・ジョンソン
R・ジョンソン

それは面白いな。俺の音楽がそんな風に広がるなんて、思ってもみなかった。

Yamori
Yamori

さらに、あなたが27歳で亡くなったのですが、《27クラブ》という秘密の会の会員と言われています。

R・ジョンソン
R・ジョンソン

《27クラブ》とは面白いな。生きる時間は短かったが、私の音楽はまだ生き続けている。それが一番大事なことだよ。

まとめ:現代にも語りるがれる《クロスロード伝説》

ロバート・ジョンソン《クロスロード伝説》のうらには、彼自身の努力と多様な文化的な背景、そして時代の社会状況が複雑に絡み合っていました。

音楽界における悪魔との契約というモチーフ

「悪魔に魂を売ることで、卓越した音楽の才能を手に入れる」

もしかしたら多くの成功を求めるためには、悪魔に魂を売るような努力と覚悟が必要なのかもしれない。

Yamori
Yamori

「ロバート、最後にもう一度だけ教えてください。あなたは本当に、十字路で悪魔と契約したんですか?

R・ジョンソン
R・ジョンソン

私の音楽を聞いてどう思う? もし悪魔の力だと思うなら、それでいいさ。でもな、私がギターを弾き続けた理由は、ただ一つ。音楽が私のすべてだったからさ。

Yamori
Yamori

「伝説は語り継がれていく…あなたの言葉を聞けてよかったです。ありがとうございました。

R・ジョンソン
R・ジョンソン

こちらこそ、楽しい時間だったよ

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《いざブルースの世界へ・・》

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