2024年も始まりました。
去年も沢山の映画を見ました。と言っても100作品も見れていませんが・・・・
ところで皆さんは映画を年間どのくらい鑑賞しますか?
選ぶ映画は好きなジャンルや監督や俳優に偏っていますか?
それともジャンルなど考えず話題作を一通り見ますか?
映画が誕生してから120年以上。その作品数は星の数ほどあり日々増殖しています(笑)
その膨大な選択肢の中でどのように映画を楽しむかは個人によって大きく異なります。
ある人は幅広いジャンルの作品を見ることで新しい発見を求め、他の人は特定のジャンルや監督を掘り下げ作品をより深く理解しようとします。
人間関係でも引き合いに出されますが、映画鑑賞においても「広く浅く」か「狭く深く」か分かれるところでしょう。
そもそもそんな事考えたこともないという方もいらっしゃると思います。
この記事では、映画鑑賞において「広く浅く」か「狭く深く」この2つに焦点を当てた映画との付き合い方を、それぞれのアプローチが持つメリットとデメリットを解説するという少し変った記事になります。
もしよければ参考程度にしていただければ嬉しいです。
【映画コンテンツの選定術】広く浅く作品を選ぶメリット
広く浅く作品を選ぶことで、新しい体験に繋がったり、様々な映画好きとの会話のネタになります。
詳しく見ていきましょう。
選択肢が広がる
一般的な映画ファンの多くは好きなジャンルが限られていると思います。
ですが普段見ないタイプの作品を見ることで新たな視点や、新しい発見につながる事もあります。
例えばヒーロー映画。
今は若干迷走中のMCUの中ですが傑作と言っても良い作品
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』
この映画はヒーロー映画である前に、ポリティカルアクションの傑作です。
ポリティカルアクションは、政治や国際情勢を背景にしたリアリティのある映画の事。
コミック映画でここまでリアルなアクションが見れるとは・・・
MCUをコミック映画と避けている方にこそ是非見ていただきたいです。
キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャーでルッソ兄弟が参考にした作品はこちら
- 『コンドル』(1975年)
- 『パララックス・ビュー』(1974年)
- 『マラソンマン』(1976年)
過去の作品(しかも結構古い作品)を参考にしているところもMCUの本気度がうかがえます。
新しい体験に繋がる
いつもと異なるジャンルの作品を楽しむことで、様々な感情を体験できます。
先ほどヒーロー映画を例に挙げました。
こちらは同じスーパーパワーの使い方を間違ってしまった例
『ブライトバーン 恐怖の拡散者』
この映画は胸クソ映画で面白くなかったという声も多い作品。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズを監督した鬼才ジェームズ・ガン製作。
同作でMCUに新風を吹き込み、トップクリエイターへと上り詰めたガン監督ですが、2018年7月、過去のTwitterでの発言が問題視され、シリーズ第3弾から解雇。
主人公は一言でいうと悪のスーパーマン。MCUでスーパーパワー(名声)を持ったジェームズ・ガンが解雇の鬱憤を晴らす為に作った作品。
スーパーパワーの主人公=ジェームズ・ガンととらえると違った見方になる作品
胸クソ映画なので鑑賞にはご注意を。
会話の幅が広がる
さまざまなジャンルの映画に触れることで、異なる興味や好みを持つ人々とも会話が弾むようになります。
映画ファンとして感想を共有することで、交流や友情が生まれたり、新たな発見に繋がったり、知らない作品をおすすめしてもらったりと世界がより広がります。
また考察をしあったり、映画結末の意味や解釈を語り合うのも醍醐味だと思います。
【映画コンテンツの選定術】広く浅く作品を選ぶデメリット
広く浅く作品を選ぶデメリットとして、深く追求する機会を失ったりします。
深い理解が難しい
広く浅くのアプローチでは、各作品をより深く理解する機会を失います。
映画はエンタメなので自由に楽しんでよいもの。
とはいえ作品の社会背景やテーマ、監督の生立ちや作家性など、知る前と後では作品の印象も変わります。
作家性という意味で例をあげるならポンジュノ監督。
『パラサイト 半地下の家族』(2020年)は有名な作品ですが、過去には『グエムル -漢江の怪物-』
『母なる証明』などジャンルでいうと様々な作品があります。
あるインタビューでこんなことを答えています。
ポンジュノ監督
「人間」を掘り下げていくと、「人間たち」に拡張されます。ぼくたちは無人島でひとりで生きているわけではない。人間は群れとなって、この社会をつくって生きているわけですから、「人間たち」を描いていくと「社会」へと広がっていく。
『パラサイト 半地下の家族』は格差社会が大きなテーマではありますが、監督曰く人間を掘り下げていくと社会に繋がっていく=作品のテーマに繋がるとのこと。
個人的にポンジュノ監督の作品でおすすめしたい作品は『母なる証明』ですが好きな作品と言われれば
『殺人の追憶』です。
この作品も事件や犯人捜しより、犯人に翻弄される二人の刑事に焦点が当てられています。
当時レンタル店で借り、1週間で4回は見た記憶があります。
「人間」を深く掘り下げてくポンジュノの作家性を知る。
ぜひ『パラサイト 半地下の家族』以外の彼の作品も見てみてください。
作品の関連性がわからない
映画にはオマージュが隠れていることがあります。
オマージュは小ネタではありますが、やはり知っていると映画の一つの楽しみだと思います。
また作品同士の影響を知らないと、映画の進化や歴史を見逃す可能性があります。
オマージュや小ネタの宝庫と言えば、映画オタク「クエンティン・タランティーノ」作品
タランティーノは映画監督になる前、地元のレンタルビデオ店「ビデオアーカイブス」で働きながら浴びるように映画を観て、映画マニアの同僚やお客たちと映画について熱く語り合ってきた生粋の映画オタク
デビュー作『レザボア・ドッグス 』では、チョウ・ユンファ主演の香港ノワール『友は風の彼方に』の影響を強く受けており、ストーリーからクライマックスの三つ巴で拳銃を突きつけ合うシチュエーションまで、そのまま再現されています。
ですがやはり好きなのは『パルプ・フィクション』
この作品のダンスシーンは、トラヴォルタ主演のディスコ映画『サタデー・ナイト・フィーバー』をベースに、フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』のダンスシーンの撮り方に似ています。
ですが監督曰くゴダールの『はなればなれに』のオマージュなそう。
音楽はタランティーノらしい選曲Chuck Berryの『You Can Never Tell』
ジャンリュック・ゴダール 『はなればなれに』
フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』
『パルプ・フィクション』
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