この記事では、『The Zephyr Song』を掘り下げます。
アルバム『By the Way』からの2枚目のシングルとしてリリース。
この曲は、相反する2つのテーマがあります。
特に薬物使用に関しては、これだけの多幸感や高揚感を得られる=抜け出すのが難しい。最初は良いもののように感じる恐ろしさがある。
今回は『The Zephyr Song』の歌詞に迫っていきます。
歌詞の解釈は人それぞれですし、本当の意味は作詞をした人しか分かりません。
もしよかったら一つの解釈として読んで頂けると嬉しいです。
『The Zephyr Song』lyric
[Verse 1]
Can I get your hand to write on?
Just a piece of leg to bite on
What a night to fly my kite on
Do you want to flash a light on?
[Refrain]
Take a look it’s on display for you
Comin’ down, no, not today
[Verse 2]
Did you meet your fortune teller?
Get it off with no propeller
Do it up, it’s on with Stella
What a way to finally smell her
[Refrain]
Pickin’ up, but not too strong for you
Take a piece and pass it on
[Chorus]
Fly away on my zephyr
I feel it more than ever
And in this perfect weather
We’ll find a place together
[Post-Chorus]
Fly on my wind
[Verse 3]
Rebel and a liberator
Find a way to be a skater
Rev it up to levitate her
Super friendly aviator
[Refrain]
Take a look it’s on display, for you
Comin’ down, no not today
[Chorus]
Fly away on my zephyr
I feel it more than ever
And in this perfect weather
We’ll find a place together
[Post-Chorus]
In the water where I center my emotion
All the world can pass me by
Fly away on my Zephyr
We’ll find a place together
[Guitar Solo]
[Bridge]
Wo-wo-wo-wo-wo-woah, do you
Yea-yea-yea-yea-yea-yeah
Wo-wo-wo-wo-wo-woah, want to
Yea-yea-yea-yea-yea-yeah
[Chorus]
Fly away on my zephyr
I feel it more than ever
And in this perfect weather
We’ll find a place together
[Post-Chorus]
In the water where I center my emotion
All the world can pass me by
Fly away on my Zephyr
We’re gonna live forever
[Outro]
Forever
GENIUSより出典
『The Zephyr Song』歌詞の和訳
[Verse 1]
君の手に、書き込んでいいかい?
こいつは本気の旅路さ
空を舞うには絶好の夜だ
明かりが欲しいかい?
[Refrain]
見てみな、きみのための景色さ
今日は降りたくないな
[Verse 2]
占い師には会ったかい?
プロペラなんか無くたって飛べるさ
ステラと一緒に空に浮かぶ
それは彼女を嗅ぎ取る最後の手段さ
[Refrain]
乗せてってあげるよ、きみのために安全運転で
手にとれたら、分け合おう
[Chorus]
俺のゼファー(そよ風) で飛び立とう
今までで最高の気分
この完璧な空の中
俺たちの場所を見つけにいこう
俺の風に乗って
[Verse 3]
反逆者と解放者は
スケーターになる方法を探して
もっと回転数を上げて(強いのをキメて)、彼女を浮かす
息もピッタリの飛行士になれる、
[Refrain]
乗せてってあげるよ、きみのために安全運転で
手にとれたら、分け合おう
[Chorus]
俺のゼファー(そよ風) で飛び立とう
今までで最高の気分
この完璧な空の中
俺たちの場所を見つけにいこう
[Post-Chorus]
水の中で、それは俺が感情と向き合う場所
俺を置いたまま、世界は回り続ける
俺のゼファー(そよ風) で飛び立とう
俺たちの場所を見つけにいこう
[Guitar Solo]
[Bridge]
Wo-wo-wo-wo-wo-woah, 君は?
Yea-yea-yea-yea-yea-yeah
Wo-wo-wo-wo-wo-woah, どうしたい?
Yea-yea-yea-yea-yea-yeah
[Chorus]
俺のゼファー(そよ風) で飛び立とう
今までで最高の気分
この完璧な空の中
俺たちの場所を見つけにいこう
[Post-Chorus]
水の中で、それは俺が感情と向き合う場所
俺を置いたまま、世界は回り続ける
俺のゼファー(そよ風) で飛び立とう
俺たちは永遠に生き続ける
[Outro]
いつまでも
『The Zephyr Song』歌詞の深堀り
歌詞は自然の力と人間とのつながりや、自由と解放、愛する人との一体感を風に乗って飛ぶという比喩で表現しています。また曲の中で飛ぶというのは薬物でハイになった状態も含みます。
君の手に、書き込んでいいかい?
アンソニーは、まるで子供のように彼女の手に文字を書かせてほしいと頼みます。これは彼が何か大切なことを書きたい。二人だけの秘密にしておきたい、自分達の気持ちを確かめる為に、紙ではなく彼女の手にしたのです。
きみのための景色さ 今日は降りたくないな
ゼファー(そよ風)に乗るとは、女性との行為やハイになること理想郷(夢の世界)をイメージしています。主人公は地上に戻らなければならないことを知っていますが、まだ気持ちの準備ができておらず、何らかの薬物の影響から覚めたくないことを指しているようです。
プロペラなんか無くたって飛べるさ
飛行機はプロペラなどの動力がないと飛びませんが、主人公は動力(原動力)が必要ないと言っています。これは動力ではなく薬物でのハイの状態(多幸感)か、愛の力を動力にして飛ぶと言いたいのでしょう。
ステラと一緒に空に浮かぶ
「ステラ」とは、アルバム『By the Way』のカバーに描かれた女性、ステラ・シュナーベルをなそうです。
アルバム『By the Way』の制作当時、ステラはジョン・フルシアンテの恋人。彼女の父親は映画監督と画家のジュリアン・シュナーベル。
『By the Way』のアルバムジャケは彼の作品です。
監督の代表作品は、『バスキア』『永遠の門 ゴッホの見た未来』などがあります。
ジョンのインタビュー
ガールフレンドの父親がアルバムのアートワークを手がけてくれると申し出てくれたので、8曲のラフミックスを彼に送りました。彼はそこからアルバムの雰囲気をつかみ描いてくれました。彼の手掛けたすべてのシングルのカバーも素晴らしいです。彼は真のアーティストです。
LOUDERより出典
水の中で、それは俺が感情と向き合う場所
心を落ち着かせる水中と、水たばことの二重の意味があり、周りから遮断され自分と向き合う瞑想に近い状態です。
Zephyr=【ゼファー】とは?
「ゼファー」は西から吹く穏やかなそよ風の事。またギリシア神話に登場する西風神ゼピュロス (ギリシャ語: Ζέφυρος)の英語名です。
意味は「そよ風、優しい風」を表し春の使者なそうです。
俺のゼファー(そよ風) で飛び立とう
神聖なる「ゼファー」にアンソニーは、陶酔的なイメージとそよ風の穏やかさで、愛を伝え一緒に幸せな場所へ「飛んで行こう」と誘う様子を表現しています。
反逆者と解放者
反逆者と解放者とは、史上最も影響力のあるスケートボード グループのZ-BOYSの事を指しています。
Z-BOYSはZephyr Competition Teamの略称です。
Z-BOYSは、70年代のアメリカ西海岸・ドッグタウンで結成されて、わずか数年でスケートボードの世界にイノべーションを起こしたチームです。
スケートボードにサーフィンのエアー(トリック)を取り入れるという動きを、スケートボードテクニックに取り入れました。
地元カリフォルニア州サンタモニカでドッグタウンという愛称で知られるオーシャン パーク地区。
ここを舞台にした映画『ロード・オブ・ドッグタウン』は3年でスケートボードの世界を一新させ、全米の若者たちが熱狂するカルチャーに変えた伝説のスケボー集団Z-BOYSを描いた作品です。
アンソニーは『By the Way』の歌詞でもドックタウンという名称を登場させています。
『The Zephyr Song』の逸話
アルバム『By The Way』はバンドとして脂がのっており、ジョンの才能が爆発していたアルバム。
毎回アルバム制作時かなりの曲数を作る彼らですが、アルバム制作時なんと1000曲ほどアイデアがあったそうです。
歌詞を書くのが得意ではないアンソニー
アルバム制作時、アンソニーは20曲分ほどの歌詞のストックありましたが、30曲ほどをレコーディングしたかった為、残りの歌詞は毎朝レコーディング前の時間を使い書き上げたそうです。
音楽を聴いて書き始めるだけで歌詞が浮かぶこともありますが、チェスの一手を決めるようになかなかうまく書けない時もあると語っています。
ジョンの盗作疑惑?
ジョンは無意識のうちに『ウィリー・ウォンカとチョコレート工場』(1971)の楽曲【Pure Imagination】の要素を『The Zephyr Song』オープニングのギターフレーズに無意識に取り込んでしまったようです。
ジョンのギターテックのデイブ・リーは、このように語っています。
「レコーディングルームでギターの音色をテストしている時、『Zephyr Song』の最初の 3 つの音が、オリジナルの映画『夢のチョコレート工場』の曲『Pure Imagination』の最初の 3 つの音と同じであることに気付きました。
この話をジョンがレコーディング のブースで聞いていており、『デイブ…私がこの曲を書いたのは、ウィリー・ウォンカを熱心に観ていた時期だったんだ!『Zephyr Song』を書いたとき、この曲が頭にあったに違いない。すごい!全然気づかなかったよ』」
と言いながらジョンは驚いた表情でレコーディング ルームに入ってきたそうです。
シャトー・マーモントホテルでの録音
アルバム『By the Way』のレコーディングはロサンゼルスのサンセット・ブールバード8221番地にあるシャトー・マーモントというホテルで行われました。
アンソニー: ジョンが住んでいたシャトー・マーモントに私も引っ越したことがありました。ジョンはマイクのセッティングをすればホテル(家)でも録音できるのに、なぜ高いお金を目指して大きなレコーディングスタジオに行く必要があるのかと思いました。そこで、7 階に部屋を借りて、Pro Tools のコンピューターや機材を持ち込み録音することにしたんです。マイクの周りに30年代や40年代のビンテージ映画のポスターをたくさん貼って、雰囲気に浸りながらレコーディングしたとのことです。
『The Zephyr Song』のMV
『The Zephyr Song』のMVはジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリスが監督を務めました。
彼らは名作『リトル・ミス・サンシャイン』の監督です。
『The Zephyr Song』の他にも様々な作品を監督しています。
『The Zephyr Song』は幻想的で万華鏡のようなビジュアルが特徴で、楽曲の雰囲気を視覚的に表現しています。
アンソニーはこのビデオについて次のように語っている。
ジョンとフリーは、信じられないほどサイケデリックなものを求めていました。この時代に本当の意味でサイケデリックな表現を作るのは難しい。なぜなら、誰もがコンピューターなどに頼るからです。ですがこのビデオにはそれがうまく捉えられていると思う瞬間がいくつかありました。
「ビデオのパフォーマンス部分はあまりエキサイティングではなかったけど、ゴーゴーガールのダンスを撮影するのは楽しかったです。特にエイミー・クリスティは本当に美しくてセクシーでダンスも上手く、彼女の中にラス・メイヤー作品の情熱が感じられました。
ビデオの中では当時のフリーのパートナーであるトビー・トーレスも参加しています。
ラス・メイヤー
アメリカの映画監督、写真家。セックス&バイオレンスの鬼才として鳴らす。1950年代後半から1970年代の半ばまでが全盛期であり、エロティックかつバイオレンスにあふれている作風が多い。
代表作は1968年制作の『Vixen!』
まとめ
『The Zephyr Song』の深堀りはいかがだったでしょうか?
この曲は、2つのテーマがありました。
『The Zephyr Song』は実は薬物体験そのものを比喩しているかもしれません。
依存症が苦しく恐ろしいと感じるだけなら薬物なんて誰も手を出しません。
自由や解放を飛ぶことになぞらえ、多幸感や高揚感を得られるというプラスとも思えることを描くことで、抜け出すのが難しい中毒性と恐ろしさがある。
『The Zephyr Song』意味が分かると恐ろしい内容でした。
このブログでは今後も音楽(レッチリが多い)や映画の事を深堀りしていきます。
音楽や映画の新たな魅力を発見していただけると嬉しいです。
ではまた
Comments