レッチリのアルバムUnlimited Love=無限の愛
16曲目The Heavy WingはJimi HendrixのLittle Wingに対するアンサーソングという解釈をしました。
そしてテーマは
夢半ばで去っていったアーティスト。また自分の主張を曲げず、挑戦し続けたが無名のまま終ったアーティスト。それらすべてのアーティストの思いも載せて飛び続けるという彼らのアンサーという解釈でした。
過去のThe Heavy Wingの記事はこちら
Tangeloが収録されているのはこちらのアルバム
Red Hot Chili Peppersの楽曲は、配信もしています。
配信といえど、どうせ聞くならハイレゾ。音質を考えなければYouTubeで聴けますしね。
ハイレゾ(ハイレゾリューション音源 )は、CDでは入りきらなかった音の情報が入っています。
具体的にはアーティストの息づかいやライブの空気感など、より生に近い形になります。➡CDやレコードではなくデータであれば場所を必要としません。電子書籍みたいなものですがね。
サブスクで迷っている方はこちらをどうぞ。
今回の曲Tangeloについて解説していきましょう
Tangeloとは
まずTangeloとは
オレンジに似た柑橘類の一種で果汁が多く香りが強い。ヘタの所がポッコリ膨らんでいるのが特徴です。カルフォルニアの南部でも気候的には栽培できますが、主にフロリダ州やアリゾナ州で栽培されています。
匂いの記憶は感情とセットで蘇る
少し話はそれますが、匂いの記憶って、思い出、その時の感情とセットで残っていて、人によっては、この匂いを嗅ぐとあの時の思い出、あの時の感情が思い出す事とかあると思うんです。
コーラスにもあるように
And the smell of tangelo, I know
タンジェロの香りを俺は知っている。
アンソニーにとってTangeloが、そのような喪失感を象徴する香りなのでしょう。
この曲は大きくは喪失感や別れの歌ですが、そのほかにも様々な感情が描かれます。
アンソニーの息子に対しての感情
Tangeloの説明が終わったところで曲の説明に入ります。
When I’m with you, I feel like myself
お前と一緒だと自分らしくいられる
When I feel you holdin’ my hand I get touched, ain’t this life grand?
お前が俺の手を握るのを感じると、胸がいっぱいになる人生は最高じゃないか?
お前とはアンソニーの息子に対しての感情や、自分自身の父親が当時、抱いていたであろう感情。
コーラスでは
But the form of a-life is long, never-ending
でもそんな人生は長く終わりがない
And the smell of your hello, I know
お前の挨拶の匂い(辛いのに無理している笑顔)を俺は知っている
And the smile of a knife is seldom befriending
ナイフの笑顔(グラスゴースマイル)が親しげなことはない。
And the smell of tangelo, I know
タンジェロの香りを俺は知っている。
ナイフの笑顔(グラスゴースマイル)
このナイフの笑顔(グラスゴースマイル)とはナイフなどの刃物を使用して裂いた「笑っているような口」を意味します。つまり辛いのに無理して笑っている笑顔の状態の事です。
アンソニーの父親の感情
Aメロ2
When I’m near you, I feel like a king
お前のそばにいるとキングになった気分
A life force inside to do anything
体に力がみなぎり何でもできる気がする
When I’m downtown, I pick up the phone
ダウンタウンで電話を取るとお前の声が聞こえる。
I hear you and I’m not alone
俺は一人じゃない。
ここは多分、アンソニーの父親の感情を、アンソニー自身が想像して書いたのだと思います。または自分が父親になったからこそ、感じた感情かも知れません。
アンソニーと父親がロサンゼルスへと移住した時、父は麻薬常用者であり、ドラッグがいつも周りにあり、最初のドラッグも父から得たものでした。
自分が麻薬常用者であり、決して良い父親でないことに気づきながらも、息子アンソニーへの愛も同時にあったのでしょう。
丘の上のカラスは麻薬の象徴
ブリッジの
And the crows on my hill came in for the kill
丘の上のカラスが殺しにやってきた
But the dream of this love never died
でもこの愛の夢は永遠に終わることはなかった。
カラスは麻薬の象徴であり、父親であるブラッキー・ダメットの事でもあると思います。
When I lost you out in that field
あの平原でお前を失ったとき
My crooked eyes could hardly conceal
俺のいびつな瞳は隠しきれなかった。
Tell me one time and bring me my tray
俺のトレイを持ってきてくれ(ここのトレイには麻薬が乗っているのでしょう)
Oh, let it go and now I must pray Let’s pray
忘れてしまえ、今は祈ることしかできない。祈ろう
【Tangelo】のテーマは、単純な悲しみや喪失感だけではない
この曲全体のテーマは、単純な悲しみや喪失感だけではない
かけがえのない者、愛する者を失ったときのどうしようもない喪失感。
そんな時に喪失感を埋めるため、またドラックに手を出してしまう。そんな悪循環の可能性、危険性についての歌だとも思います。
彼の人生においてドラックの存在は切り離すことの出来ない事。(決してドラックを肯定しているわけではありませんし、現在彼が依存しているという事でも全くありません)
だからこそ隠さずに歌い、そして最後に「忘れてしまえ、今は祈ることしかできない。祈ろう」
と締めくくっています。
深く愛しているからこその別れたときの、深い喪失感。誰しも一度はあることでしょう。そして歳を重ねることに、一度 二度と増えていくもの。
そんな時に思い出すのはTangeloの香り。
アルバム Unlimited Love=無限の愛
その最後の曲は、愛するものを失った深い喪失感と、そのすべてを抱えて人生は続いていく。
そんな悲しい曲でした。
ニューアルバム『Return Of The Dream Canteen』が発売中
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自分は今回もアナログ盤で聴いています。まだまだ聴き込んでいませんが今回はサイケ色が強くファンキー、そしてジョンのギターが全面出ているという印象です。
プロデューサー リックルービンのインタビューで「あいつらほど音楽的な結びつきの強い奴らはいないね」と言わせた彼らのニューアルバムです。
ではまた
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