この記事ではライブでも人気の『Around the World』を掘り下げます。
レッチリのライブはジャムのイントロから始まりまりますが、1曲目は『Around the World』か『Can’t Stop 』で始まるかというのはファンの間ではお決まりですね。
アルバム『Californication 』の中では『Scar Tissue』がまずはシングルヒットになり、その次にラジオ局で頻繁にオンエアされたのが『Around the World』でした。
『Around the World』最後のサビは、フリーの娘の発案によるものなそうです。
もしよかったら一つの解釈として読んで頂けると嬉しいです。
近年の彼らの活動をまとめた記事はこちら。
『Around the World』lyric
[Intro]
[Verse 1]
All around the world, we could make time
Rompin’ and a-stompin’ ‘cause I’m in my prime
Born in the North and sworn to entertain ya
‘Cause I’m down for the state of Pennsylvania
I try not to whine, but I must warn ya
‘Bout the motherfuckin’ girls from California
Alabama baby said “Hallelujah”
Good God, girl, I wish I knew ya
[Chorus]
I know, I know for sure
That life is beautiful around the world
I know, I know it’s you
You say “Hello” and then I say “I do”
[Verse 2]
Come back, baby, ‘cause I’d like to say
I’ve been around the world, back from Bombay
Fox hole love, pie in your face
Living in and out of a big fat suitcase
Bonafide ride, step aside, Mike Johnson
Yes, I could, in the woods of Wisconsin
Wake up the cake, it’s a lake she’s kissin’ me
As they do when they do in Sicily
[Chorus]
I know, I know for sure
That life is beautiful around the world
I know, I know it’s you
You say “Hello” and then I say “I do”
[Verse 3]
Where you want to go? Who you want to be?
What you want to do? Just come with me
Oh, I saw God and I saw the fountains
You and me, girl, sittin’ in the Swiss mountains
Me, oh my, oh, me and Guy O
Freer than a bird ‘cause we’re rocking Ohio
Around the world, I feel dutiful
Take a wife ‘cause life is beautiful
[Outro]
I know, I know for sure
Ding, dang, dong, dong, deng, deng, dong, dong, ding, dang
I know, I know it’s you
Ding, dang, dong, dong, deng, deng, dong, dong, ding, dang
Mother Russia, do not suffer, I know you’re bold enough
I’ve been around the world and I have seen your love
I know, I know it’s you
You say “Hello” and then I say “I do”
『Around the World』歌詞の和訳
[Intro]
[Verse 1]
世界中を回っても、俺たちは時間を作れる
暴れまわって足踏みする 俺は絶頂期だから
北部で生まれ、お前を楽しませると誓った
ペンシルベニア州を南下したんだ
愚痴を言わないようにしてるけど
カリフォルニアの女たちについて 泣き言は言わない
アラバマのベイビーは「ハレルヤ」と言った。
なんてことだ お前の事を知りたいよ
[Chorus]
分かってる 確かに知っているよ
人生は世界中どこだって美しいって
分かってるさ 君だって知ってるよ。
君が「ハロー」と言うと、僕は「さよなら」と返す
[Verse 2]
戻ってきてくれ だって俺は世界中を回り
ボンベイから帰ってきた
狐の愛の巣、パイを顔にぶちまける
大きなスーツケースから飛び出した暮らし
邪魔しないでくれ マイク・ジョンソン
そうだ、ウィスコンシンの森の中で
目を覚ましてケーキを、湖のほとり 彼女は俺にキスをする
シチリア島で彼らがするように
[Chorus]
分かってる 確かに知っているよ
人生は世界中どこだって美しいって
分かってるさ 君だって知ってるよ
君が「ハロー」と言うと、僕は「さよなら」と返す
[Verse 3]
どこに行きたい? 誰になりたい?
何をしたい?
僕と一緒に来いよ
ああ、僕は神も その起源も見た
君と僕、女の子、スイスの山々に座っている
僕、ああ、僕、そしてGuy O
オハイオでロックすりゃ、鳥より自由さ
世界中を回って 俺は 素直になれた
奥さんをもらいな 人生ってのは美しいから
[Outro]
わかってる、よくわかってる
ディン、ダン、ドン、ドン、デン、デン、ドン、ドン、ドン、ディン、ダン
わかってるよ、お前さ
チン、ダン、ドン、ドン、デン、デン、ドン、ドン、ドン、チン、ダン
母なるロシアは残ってる ソ連崩壊なんて気にするな
俺は世界中を旅して お前の愛を見つけた
分かってるさ 君だって知ってるよ。
君が「ハロー」と言うと、僕は「アイ・ドゥー」と返す
『Around the World』の深堀り
アンソニーは、『Around the World』の中で、自身の旅やその経験、バンド活動を通して感じた人生という旅の美しさについて歌っています。
君が「ハロー」と言うと、僕は「さよなら」と返す
[Chorus]:君が「ハロー」と言うと、僕は「さよなら」と返す
は人生の出会いと別れを示しています。
映画『ライフ・イズ・ビューティフル』
アンソニーは『Around the World』のインスピレーションはロベルト・ベニーニの映画『ライフ・イズ・ビューティフル』だったとも述べています。
『ライフ・イズ・ビューティフル』 はロベルト・ベニーニ監督主演の映画です。
あらすじは・・
1937年、トスカーナ地方の小さな町へやって来たユダヤ系イタリア人の陽気な男性グイドは、美しい小学校教師ドーラと運命的な出会いを果たします。
いつも陽気で機転のきくグイドにドーラも心を奪われ、やがて2人は結婚。
息子ジョズエも生まれ家族は幸せな日々を送りますが、彼らが暮らす町にもユダヤ人迫害の魔の手が迫り、3人は強制収容所に連行されてしまいます。
グイドは幼いジョズエに悲惨な現実を悟られないよう、ひたすら陽気に振る舞い、これはゲームだよ嘘をつき続けますが…
映画のタイトルはロシアの革命家レフ・トロツキーがヨシフ・スターリンからの暗殺者に脅えながらも残した「人生は美しい」という言葉にちなんでいるそうです。
ベニーニは「どんな状況下でも人生は生きるに値するほど美しい」という信念に感銘を受け、物語を着想したそうです。
人生はどこを切り取っても美しい
『Around the World』には「人生は世界中で美しい」というフレーズが繰り返されます。
歌詞にはアメリカの各地やインドのボンベイ(現在はムンバイ)など具体的な地名が登場し、異なる文化や背景を持つ人々の多様性を称賛するメッセージが込められています。
実際、彼らは様々な国や地域でライブを行ってきました。世界中の様々な場所を旅しながら得られる経験や出会いを通じて、人生の美しさを再確認したのでしょう。
彼ら自身の再確認だけでなく、世界中どこにいてもどんな境遇でも楽しむことができるというメッセージも込められています。
『Around the World』に出てくる地名
曲の大きなメッセージを知ってところで曲に出てくる地名を見ていきましょう。
『Around the World』にはこのような地名が出てきます。
この地名の中でいくつかピックアップして解説します。
ペンシルベニア州:南北戦争でアメリカ連合国軍(南軍)による攻撃の目標になりました。歌詞に北部で生まれと書いており、ペンシルベニア州を南下したとあるので、南北戦争が関係しているようです。
ボンベイ:現在はムンバイとなった紀元前からあったインドの古い都市。ボンベイは歌詞の韻的にはまったからという気もします。
ウィスコンシン州:ウィスコンシン州にはミシガン湖があり恋人の聖地とも言われる。
ロシア:『ライフ・イズ・ビューティフル』のタイトルの由来、ロシアの革命家レフ・トロツキーがヨシフ・スターリンからの暗殺者に脅えながらも残した「人生は美しい」という言葉が関係。
マイク・ジョンソンは誰?
マイク・ジョンソンを調べると、 アメリカの弁護士出身の政治家と、ダイナソーJr.というバンドの元ベーシストがヒットしましたが、恐らく後者でしょう。
ダイナソーJr.はグランジ的なノイジーなギターが特徴のバンドで、マイク・ジョンソンは1997年に脱退していました。
バンド名は知ってたけど曲は聴いたことなかったので、今回聴いてみました。
【感想】ダイナソーJrかなりおすすめかもしれません。
バッキングも良いですがギターソロにやられました・・
何曲か聞いて好きな曲を上げておきます。
Dinosaur Jr『 Out There』
J・マスシス(G&Vo )の泣きのギターが好きです。
a-stompin:足踏みって何?
暴れまわって足踏みする 俺は絶頂期だから
ライブの際のアンソニーのパフォーマンスや会場の熱気の事でしょう。
俺は絶好調と歌ってはいますが、今回のアルバム『Californication 』は前作までと路線を変えたアルバム。
しかも、ジョンが復帰してすぐのアルバムで、不安もあったかもしれませんが、それを払拭するかのような自信に満ち溢れた歌詞の内容です。
Guy Oとは?
Guy O:ガイ・オセアリーの事だと言われています。
ガイ・オセアリーは、レッチリ、マドンナやU2などのマネージャーを務めたことのある音楽業界での重要人物だそうです。
映画『オースティン・パワーズ』『マトリックス』『キル・ビル』を始めとする多数のサウンドトラックを手掛け、U2のアップルでのアルバム無料ダウンロード(2013年)の仕掛け人でもあります。
また、アンソニー・キーディスの自伝『スカー・ティッシュ』の劇場映画のプロデュースも決まっています。
キース・リチャーズ、ノエル・ギャラガー、マドンナ、ボノ、アンソニー・キーディス、モリッシーなど、様々な人物のインタビューを描いた「On The Record」(邦題:告白します) を出版しています。
I do:さよならはadieu(フランス語)
I doは通常、『はい、そうです。~します」
の意味です。
例えば
結婚式の誓いの言葉として使われます。
神父の「健やかなる時も病める時も~…愛することを誓いますか?」という質問に対してI doと答えることで「誓います」という意味になります。
歌詞では
君が「ハロー」と言うと、僕は「はい、やります」と返す
だと意味として変になります。
アンソニーは【I do=はい、やります】と、フランス語のアデュー(adieu=さようなら)をかけていると思われます。
確かに気を付けて聴くとアイ ドゥではなくアデューと聞こえてきますね。
『Around the World』の逸話
『Californication 』のアルバムの制作過程は非常に困難なものだったそうです。
ジョンが脱退してから固定しない後任ギタリストや解散の危機。
後任ギタリストで唯一アルバム制作までいけたのがデイヴ・ナヴァロですが、『 One Hot Minute』のツアー終了後に脱退。
そんな中、奇跡的なジョンの復帰を経て、アルバムが制作されました。バンドにとって正念場の作品だったと言えます。
自分達が最高と思っても、それが受け入れられるか誰にも分かりませんしね・・
メンバーの以前のインタビューで、今から考えると成功してきたと言えるけど、「これでバンドが終わる」という思う場面は何度もあったと語っていました。(多分チャドだったかな・・)
一度も解散することなく続けられてきている、しかもここまで成功しているバンドは、数少ないなと思います。
デイヴ・ナヴァロがジョン貸したギター
デイヴ・ナヴァロとジョンのほっこりエピソードを紹介します。
デイヴ・ナヴァロが、自身のポッドキャスト「Dark Matter」で語っている。
「Loudwire」によれば、どちらもかつてはレッド・ホット・チリ・ペッパーズの一員だった2人だが、それ以外にも薬物乱用の問題を抱え、時期は重ならなかったものの同じリハビリ施設に入っていたことが共通点だという。
ナヴァロは、フルシアンテが薬物治療に取り組むなかで自分に助けを求めてきたことを明かし、彼がギターを必要としていた当時のことを以下のように振り返っている。
『俺は(スラッシュと同じ)サンバーストのレス・ポールを持っててさ。というのも、当時はガンズ・アンド・ローゼズへの加入を考えてたんだ』
しかし、ナヴァロは「懲りずにドラッグをやっていたか何か」で加入のタイミングが合わず、そのギターをフルシアンテに貸すことにしたのだという。
『そのレス・ポールを施設に持っていって、彼と少し話をして、それ以降そのギターを見ることはなかったよ。施設を出たんだと思うけど、彼に何があったのかは分からない。そして人生は続き、俺はチリ・ペッパーズを抜けることになり、ジョンの行方も分からなかった』
その10年後、フルシアンテから電話がかかってきて「家を訪ねたい」と申し出てきたそうだ。実際にフルシアンテが訪ねてきた際のことを以下のように語っている。
『彼が来て、ドアをノックすると、ギターのケースを持っていた。ギタリストがギタリストの家にギターを持ってくるのは珍しいことじゃないけどね。
彼がケースを開けると、黒のレス・ポールが入ってたんだ。そして「これを君にあげたかったんだ。というのも昔、君がくれたレス・ポールを売ってドラッグを買ってしまったんだ。だからちゃんとしたかった」と言うんだ。俺は「ワオ」って感じだったよ』なお、ナヴァロはいまだにそのギターを大切に所有しているという。
rockinon.comより出典
いや~いい話だなと思ったんですが、デイヴ・ナヴァロ自身のポッドキャストが「Dark Matter」って・・・ダークマター・・(笑)
10年後、律義に直接ギターを届けるジョンにもほっこり。
デイヴ・ナヴァロは1991年頃にアクセル(ガンズ・アンド・ローゼズ)から誘われたそうで、10年後だと2001年になります。
ジョンがレスポールをデイヴに届けたのは2001年頃、『Californication 』に伴うツアーがひと段落ついたあたりでしょうか。
デイヴ・ナヴァロのその後
1991年頃にアクセルの誘いを断ったデイヴ・ナヴァロですが、アクセルはその数年後ナヴァロに再び声をかけてくれたと言います。
アクセル・ローズの後任ギタリスト第1候補はデイヴ・ナヴァロだったそうだが、ナヴァロは当時、ドラッグにどっぷり漬かっており、それどころではなかったという。
映画『End Of Days』(1999年)にガンズ・アンド・ローゼズが提供した楽曲「Oh My God」の制作に参加するよう誘われた。「ある日、アクセルから電話があり、“サウンドトラックに取り掛かってるんだが、ギター弾いてみないか?”って言われた。“もちろん、やるよ!”って答えた」
そこで面白い体験をしたそうだ。「指定された時間にスタジオへ行った。スタジオには10人位いたかな。“アクセルは?”って訊いたら、“すぐに来る、向かってる。でも、先に始めよう”って言われ、曲を聴かせてもらった。素晴らしい曲だったよ。それで、俺が数テイク、レコーディングしてたら、突然、どこかから“ああ、それいいよ。そこは取っておこう”って声がした。アクセルだったよ。彼はずっと、スピーカーフォンを通じ家から聴いてたんだ。それで方向性を指示してきた。あれは奇妙な体験だった。でも、そこが気に入ったよ。面白い話で、忘れられないものになったからね」
まとめ
『Around the World』の深堀りはいかがだったでしょうか?
最期はデイヴ・ナヴァロの話が多くなった気がしますが、楽しんで頂けると嬉しいです。
『Around the World』は曲のカッコよさやパフォーマンスに目がいきますが、インスピレーションが映画『ライフ・イズ・ビューティフル』だったり、デイブとジョンのほっこりエピソードも知ることが出来ました。
ダイナソーJr.も改めて聞いてみようと思います。
調べてみるものですね。
このブログでは音楽(レッチリが多い)や映画の事を深堀りしていきます。
音楽や映画の新たな魅力を発見していただけると嬉しいです。
ではまた
Comments